11月25日Vol.141:配信
連載:社員インタビュー
第1話_山田雄太さん(2課)

鉄から革へ

小山の工業団地にある鉄工所で、長いこと仕事をしていた。15年が過ぎた頃、違う世界を覗いてみたくなった。それで見つけたのが栃木レザー。

革製品は割と好きで、「栃木レザーの革を使用しています」といった店に行ったこともあった。色がきれいで、あまりにも自然な発色に、そうした色の動物が存在していると思ってしまったほど。

入社後、染色という工程を見て、それが人工のものだと知った。すごい技術、職人の腕に驚かされた。

自分が与えられた場所は2課。覚悟はしていたけど、実際に働き始めると、想像以上の重労働。1週間で根を上げ、当時の遅澤専務に、不安というか、愚痴をこぼしてしまった。

「このままではダメだよ。もうちょっと頑張ってから、続けられるかどうか判断するべき」。その言葉でスイッチが入った。

根性入れてやらないと、中途半端な気持ちではやっていけない世界。同僚や上司に支えてもらい、なんとかここまでこれた。

革を伸ばすのが自分の仕事。セッターにかけて、しわを伸ばすとデシ(ds)と言われる革の面積が増える。1枚1枚重い革は、上司と2人1組でこなすけど、タイミングや間合いがお互いに一致していないと、うまく革は伸びない。 まさに、阿吽の呼吸だ。

繁忙期は1日250枚以上。1枚かけて、また1枚かけての繰り返し。1枚に費やす時間はわずか30秒。2時間ほどで約150枚、それで午前中が終わる。その間味とり場で1枚ずつ紐を付け、棒を通して吊ってもらう。1ロット80枚を下ろし、午後は、半乾きのものを1枚ずつ伸ばし台に戻して、トラックに積む。1キロ離れた宿河原にある乾燥場へ持って行き、また、伸ばす。

工場と宿河原を行ったり来たり。1日に4回ほどこのルーティンを繰り返すけど、場所も人も、景色も変わる。

11月26日Vol.142:配信
連載:社員インタビュー
第2話_山田雄太さん(2課)

ものづくりの身体に

5年経って、少しは役に立てているだろうか。周りを見れるようになってきたし、自分が何をすべきかもわかってきた。ベテランの先輩には、まだまだ追いつけないけど、ちょっとだけ余裕が生まれてたかな。

昔から変わらない手法での革づくり、この伝統を残して、後世に伝えていくことは大切だと思う。観光だって、みんな歴史的に残っているものを見てまわっている。栃木レザーの革づくりに携わって、そんなことを感じるようになった。

前職は、鉄鋼関係で主にクレーンなど機械を使う仕事だった。今は、圧倒的に手作業が多い。同じ力仕事なのに、この5年で筋肉がついてきた。ものづくりに身体が反応している。力を使うところが違うんだろうな。

身体を動かすのは嫌いじゃない。中学の時は短距離走が得意で、体育祭のリレーには常に出場していた。軟式のテニスもやってたけど、今じゃ、そのイメージ何もない、笑。

高校に入ってから、スポーツとは正反対の世界にはまった。漫画とかアニメ。そして、今、すべての情熱をかけているものがある。それは、麺活。もはや、趣味の域をこえた。

11月27日Vol.143:配信
連載:社員インタビュー
第3話_山田雄太さん(2課)

原点にして頂点

今、自分が入れ込んでいるのは麺活。地元はもちろん、北海道から九州まで遠征しながらSNSでも投稿する。平日は昼休みに行くこともあるけど、土日に集中して店巡りのプランをたて、1日3食ラーメンづくしも珍しくない。

はまったのは20歳を過ぎた頃。きっかけは、栃木街道沿いにある「ラーメン二郎栃木街道店」だった。1杯目を食べたとき、「すごい美味い!」といった感動があったわけではないのに、時間が経つにつれ「もう一度、食べたい」という衝動に駆られてしまって。

そこからラーメン二郎について調べ始めた。東京港区の三田に本店があって歴史背景やこだわりを知り、いろんな場所に店があることもわかった。「よし、県外のお店にも行ってやろう!」と、そこから全国のラーメン二郎、44店すべてを制覇した(今年12月に福岡新規オープン予定)。

制覇してわかったのは、同じ二郎でも、店によって味が違うこと。のれん分けしているけど、その店主が目指す味になっている。麺の太さも微妙に違い、チャーシューの部位も腕だったり、バラだったり。その違いを感じるのが二郎の楽しみ方でもある。

全店でどこが美味かったか。やはり三田の本店が一番。まさに、原点にして頂点。何故、多くのファンの心と胃袋を掴んで離さないのか。なんだか紐解きたくなる。

11月28日Vol.144:配信
連載:社員インタビュー
第4話_山田雄太さん(2課)

安定ではなく、不完全が魅力

ラーメン二郎は、創業してからすでに50年を超える。それなのに未だ行列が絶えない。単なる一過性のブームでないことを証明しているけど、それを紐解くと色々なことがわかる。

コシの強い麺とそれに負けないスープの強さなど、そのバランスは絶妙なのだが、二郎の魅力は不完全さ。味にはブレがあるところ。マニアのなかではそれを上振れ、下振れと呼んでいる。ベースよりも美味しい時は上振れ、ベースよりちょっと味が薄い時は下振れ。

口にした瞬間、「今日のスープは上振れ」と、すぐにわかったりして、一辺倒の美味しさではつまらないけど、そういう安定感がない変化が、自分にはギャンブルのように面白い。

二郎でいうブレは、革づくりに共通するものがあるのでは。生き物だから、一頭、一頭、肌は違っていて、それを鞣して、染色すれば一枚、一枚、みな表情は違ってくる。牛の年齢や部位によって厚みの感触も違い、仕上がりも違う。その違うものから自分の好みを見つけ出すのが、栃木レザーのファンの楽しみかもしれない。

そうした伝統を守ることや、本物を追求するのは、どんなものづくりでも同じ。共に原点にして頂点だからかな。麺活からそんなことを感じたりして・・・。

11月29日Vol.145:配信
連載:社員インタビュー
第5話_山田雄太さん(2課)

突き詰める

ラーメン二郎の話ばかりでしたが(笑)、今の自分にとっては、麺活がモチベーション。それがあるから仕事も頑張れる。

地元の小山に「中華そば卯月星」という好きな店があって、そこの店主は東京の狛江市ある中華そば「中華そばしば田」という名店の出身。自分が追っているのはそういうバックグラウンドストーリー。引き継いだしば田の味に、どう自分流をプラスしているのか。そういうのを突き詰めて考えるのが好きなのかな。

革づくりも厚みによって全然、手の施し方が違う。セッターをかけるときも革の厚さ、薄さを考えてやらないとうまくいかない。伝統の手法に少し自分流を加えながら、機能をうまく使い分ける。自分にとっては、それがこの仕事の面白さでもある。

親からたまに聞かされるけど、自分は破天荒というか、全然人の話を聞かなかった子供だったと。今はそんなことないけれど。多分(笑)

その変化は、社会人になってから。高校の時は趣味に没頭し、あとは普通に勉強して卒業すればいいやみたいな感じだった。それが社会人になると、やっぱり責任がのしかかってくる。車を運転するのも、仕事をするのも、アルバイトとは違って、1つひとつの行動に責任を持たないといけない。社会に出てから、考えを改めるようになった。

これからは、力がある限り2課で頑張っていく。なんとか、2課を背負って立つようにならないとなぁ。ちょっとプレッシャーあるけど。革づくりも、もっともっと極めたい。